祐斗は
その、うるさい
挨拶に対して
笑って返しているが
俺はそんな面倒な事は
いちいち
やりたくない。

昔から
家が金持ちだから
一歩、外に出れば
みんなが
言い寄ってくる。
だから
キャーキャー
キャーキャー
言われるのが
うっとうしかった。



  『きゃー』


焦った。
はっきり言って。
俺らの周りを
囲んでいる奴らとは
違う声色の
叫びだったから。

でも それ以上に
焦った。
その声の方を
振り返った時の方が。

今まで
会ったことの
ないような
存在だったから。