【短】尽忠男





この時間ならバイトだと思う、と言った昭人の言葉を信じて、志維が働いてるガソリンスタンドに向かう。


時給がいいからってだけでバイトも決めるような、少し男前な志維。

でも、仕事には一切手を抜かない真面目な志維。


どんなところも全部好き。


「はぁ…はぁ…」


こんなに走ったのは、一体いつぶりだろう。

完璧に運動不足な俺は、まず息を調えることに必死。


でもこの爽快感嫌いじゃない…つか、むしろ好きなぐらい。


「慶二…?」


小さく聞こえたその声を、俺は聞き逃さなかった。

声のした方へ顔を上げると、目を真ん丸にした志維が立っていた。


「どうしたの!?大丈夫!?」


「はぁ…ちょっとウザがられにきた」


「え?何のこと…?」