【短】尽忠男





「あ、志維!」


帰り際、偶然志維を見付けて声をかけた。


「これから帰んの?途中まで一緒していい?」


俺が聞くと、フッと優しく笑って頷いた。


ドキッ


た、確かに今の空気…前の志維とは違う?


ドキドキ鳴る胸を落ち着かせようと、軽く深呼吸する。


まじで恋してんのかな…?


ズキッ


今度は胸が引き裂かれるように痛い。


志維が誰かの隣で笑うのを想像しただけで、死にそうな程苦しい。


「……さっき昭人達が噂してたんだけどさ、志維って今恋してんの?」


とりあえず事実が知りたくて、俺は単刀直入に聞いた。


「えぇっ!?」


真っ赤になった志維を見て、心が砕ける音がした。