【短】尽忠男

右手の人差し指一本で、懸命にキーボードを打っている志維を見て、つい吹き出してしまった。


「ははは!まさかの指一本!ククッ」


すっげー目は真剣なのに、手元はおぼつかない。

どんだけかわいいんだよ!


志維の弱点を見付けてしまって、俺の心は何だかポカポカしてた。


「み、見るな!だから嫌なんだよね、レポートって」


あぁなるほど。

だからいつもレポート提出しないんだ?

キーボードを打つのが嫌過ぎて、頭から課題のこと自体消えてるんだろうな。


「あー腹痛ぇ!ツボった。もう不意打ち止めろよなー。かわい過ぎるからっ」


ポンポンと志維の頭を軽く叩く。

何してても、結局俺がもっと好きになるだけじゃん。


「……っ!へ、変なこと言わないでっ」


でもまじで不思議。

真っ赤な志維を見てるだけで、顔がニヤける。


幸せな気持ちになってしまう。