「……何」 「掴まれよ。立てねーんだろ?」 相変わらず感情のこもっていない声だけど、その優しさに甘えることにした。 軽く握ると、ぐんと腕を引っ張られ、安定していない体がよろける。 ……やっぱ、優しくないわ。 「ちょっと……危ないわね」 「こうでもしなきゃ、俺には引けねー」 「……失礼な」 未だ手を離さないこいつを見て、もう一度睨み付けた。