(ふ~ん・・・)



その光景を観ながら正義は妄想した。



(う~ん・・・。 たとえば俺とあかねちゃんが付き合ってー)



―・・・



場所はこの事務所。 コーヒーメーカーの前で、自分とあかねが立っている。



バチンッ!!



おやつタイムに響き渡った甲高い音。 あかねが正義の頬を平手で叩いた。 正義の頭から湯気がでている。 しかしそれは背後のコーヒーメーカーから噴出す湯気。 正義は殴られた角度のまま“クール”に黙っていた。 みんな唖然と口をぽかんとあけたまま、2人に注目している。



「・・・。 ねぇ、この手紙なに?」



あかねは一枚のピンク色のメモ帳を正義に見せた。



「これ、キーボードの下に挟まれてたけど。 美紀子からよね?」



美紀子はどきっと心臓を飛び上がらせる。 がたがた身体を震えさせながらうつむいた。 そして正義はクールにつぶやく。



「・・・。 知らないね」


「ウソよ!」



あかねは怒鳴って、美紀子の背後にたった。 もう、美紀子は目をぎゅっと強くつむってしまい、体が固まって動けない。



「ちょっと美紀子。 アンタ、友達だと思ってたのに・・・」


「おい! あかね!」



正義はあかねの腕を強く掴んで引っ張った。