「それって、どんな音楽?」


「え?! 知らないの? 流行じゃん。 青とか赤い髪だったりとか、有名人だと・・・。 ホラ! “ナズナ”とか!」


「ナズナ・・・」



また2人は顔を見合わせる。 そしてさえはにっこり微笑みながら言った。



「へ~。 よく知りません」


「そうなんだ~」



これ以上正義もココにいるこじ付けがなくなった。 だからその場を去る。 けれどもみんなと会話できた事に喜びを感じ、足を弾ませながら地面を歩く正義は涙ぐましい。



さえと英は顔を近づける。



「・・・。 ねぇ、カジュアル系って、ビジュアル系のこと?」


「多分・・・。 しかも“ナズナ”って、“シャズナ”じゃー・・・」


「しかも古いし・・・」


「きっと自分が1番情報通だった頃の話だよ」



かっこつけて自分も世間についていこうとしたものの、大樹がわーわー語っていた事をうる覚えで知識を増やしてしまった正義。



哀れすぎて何もつっこめなかった。