「ただいま~」



12時に加奈ご一行がきた。



「いらっしゃい。 お寿司とってあるから」


「わーい」



加奈とその憎たらしい子供達はバタバタ家に上がりこんできた。 その加奈の夫も自分以上にこの家に馴染んでいるきがする。 ずうずうしいにも程がある。



「いっただっきまーす」



正義には誰も触れてこない。



「・・・」



なんか、家にいても肩身の狭い思いをしているだけ。




(俺ってかわいそう)




―・・・




時刻は23時39分。 大人は酒を飲みながら、みんなでカウントダウンの番組を見ていた。 そして父親が酒臭い息と一緒に笑う。



「今年も終りだな~」


「そうだね~。 早いな~。 泉も小学生だよ~」



加奈の娘の泉は、眠たそうに加奈にくっついている。 3才になる妹の露美なんてぐっすり眠り込んでいるのに。 「自分はもう大人」だと、一生懸命に目をパチパチさせながら起きていた。



「みんなお参り行くか?」


「え~、今からいくのぉ? めんどくさい」



酔っ払って盛り上がっているわりには、みんなどこかしんみり。 正義もその1人。 両手を床につき、足をのばし、のぼせた顔して呆然とテレビをみつめる。



(あぁ、今年も終りだな。 来年は28才か・・・。 28・・・)