「章太郎、食堂行こーぜっ」
「お、おう」

ここ県立霧ヶ峰高等学校には食堂というものが存在する。まあ、一学年350人以上、全校生徒は1200人を超える高校だから普通のことだけど。そんな霧ヶ峰高等学校、通称霧高で平凡な日々を送るのが僕こと中野章太郎である。

「おばちゃーん。いつものね!」
「はいはい。から揚げ定食でしょ。」
「おばちゃんわかってるぅ」
友人の雄大はここのおばちゃんが大好きだ。人当たりがよくて優しく、よくおまけをつけてくれるから僕も好きだ。

「雄大、僕先にテーブル着いとくよ」
「はいはーい。わかった、後でいくー」
そう雄大に行っていつものあのテーブルに向かうと
「………え」
「どうした?章太郎?」
僕がテーブルに向かってからすぐにこちらへきたであろう雄大に声をかけられた。
「あ、あそこ…」
「あちゃー。完全に俺らの“いつもの“、乗っ取られてんな」
僕達のいつものテーブルは、3年生の女子に乗っ取られていた。

「どうする?」
「どうするったって…」
「じゃあここは俺が」
そう行って雄大はテーブルの前まで行くと
「すみません。ここ、僕達の指定席って言うかなんて言うか…。いつもここで食べてるんです。それで…。一緒に食べてもいいですか?」
さすが空気の読めない男。無理だと思うけどなあ。

「いいよ?小百合もいいよね?」
「うん。隣どうぞ?」
………え?いいの?僕達、1年だし、気まずい空気にならないかな…。
「へへっ。お邪魔しまーす」
そう言って雄大は足早にテーブルに着く。から僕も仕方なくテーブルに着く。