「無理でしょ。ミドリの後、任せられる子いないんだし。」
シズクはそう言ってかばんを拾い上げる。
「ごめんね、ミドリ。
本当はまだ好きだけど…もう疲れちゃったよ。」
そのままシズクは去っていった。
気が付けばアドレスも番号も変えていたし、おばさんは田舎へ引っ越し、シズクも一人暮らしを始めていた。
「ミドリさん…?」
「ん?…あぁ、悪い。なんだ?」
シズクに再会したのは、シズクに一つ年上の彼氏ができた頃。
俺がちょうど黒楼を引退し、バーを始めた頃。
たまたまふたりで呑みに来た時だった。


