「一緒に住むって話あったでしょ?…あれ、やっぱり今はご家族と一緒に過ごしてほしいから…延期しよ?」

「……。」

「私、それでなくてもお嫁に行くまで一緒に住む時間少ないのに、お母さんと住んでないこと…少し後悔してるの。
だから、学生のうち、せめて成人するまではご両親やヨシタカと一緒に住んでいな。
それは、カズ君じゃなく、今まで育ててくれたご両親に親孝行することになるから…。
私と一緒に住むのはもっと先でも大丈夫でしょ?たまに泊まりに来てもいい。けど、帰る家はご実家にしておきな。」



カズ君は、少し間を開けてからうなずいた。



「シロ、お前は言いたいことはないのか?」



それを見て、ミドリ君は強い口調でそう言った。



「……ない。」

「そうか。」



それから、車内は静かになって、カーステレオからミドリ君のお気に入りの曲が流れるだけだった。