水城先生につられて、私も笑う。
水城先生の横に立ち、並んで歩いた。
私、柄にもなく緊張している。
「…嶋津先生。
家近いんですね。」
送ると言ってくれた水城先生に家の場所を言うと、水城先生はそう言って笑った。
「…そうなんですか?」
「俺、すぐ先のコーポマンションに住んでるんですよ。
十分近いでしょ?」
…十分近い、か。
「…そうですね。」
「なら、チョコレート取りに行きやすいな。」
そう言ってニヤリと笑う水城先生。
な…なんか聞き覚えのある憎まれ口だ。
「そ、その事はもう忘れてください!」
「はいはい。」
水城先生は思い出し笑いして、そう言った。
「意外と馬鹿なんですね、嶋津先生。」
とも、言った。
馬鹿だな、嶋津。
秋山先輩の笑顔が頭をかすめる。
秋山先輩の言ったことは、あながち間違いではなかった。
でもね。
秋山先輩は、秋山先輩で。
水城先生は、水城先生だよ。
だから、いつでも、叱ってよ。
「…水城先生の馬鹿。」
「嶋津先生もな。」
お互い、目を合わせて笑った。
重なった手を、強く…強く、握った。
反対の腕には、役割を終えたブレスレットが、キラキラ輝いていた。
…完…



