話していると先輩の顔が急に真剣な顔になった。
そろそろ真剣に練習がしたいとか、かな?
「?」
「前に日曜に試験受けるっていったよね?」
「はい」
「あれさ、その日に合否発表で…合格しました!」
「っ!!おめでとうございます!!」
先輩受かったんだ!
すごいすごいすごい!!
だって外国の有名な音楽学校で…
倍率はとても高くて日本でも受かった者は数少ないって先輩言ってたのに…
それを聞いていたから、あたしはまるで自分の事のように喜んだ。
「どっちにしろ、留学するんだったけど…嬉しくて!一番にゆうちゃんに伝えたかった。」
でも…ってことは…
「・・・うん」
「・・・どうしたの?」
あたしの馬鹿。
一緒に喜んでお祝いしてあげなくちゃいけないのに…
「あたしも…嬉しいです。でも…」
「でも?」
「先輩がッ…遠くに行ってしまうのが寂しいんです・・」
気がついたら手が震えて涙が溢れていた。
どうしていいかわからず先輩のほうさえ向けない。
手でスカートを握りしめた。
するとその手の上に先輩の手が重なった。
顔をあげると目の前に先輩がいた。
「ゆうちゃん…」
優しい笑顔で微笑む慧先輩。
「・・・せんぱっ、ごめッなさぃ…」
「ゆうちゃん、僕さ課題曲弾かなかったんだよ。」
「え?」
「ゆうちゃんの好きなアノ曲を弾いた。そしたら、一人の審査員が気にいってくれて…発表後に課題曲も弾かされたけどね。」
先輩は笑いながら、また涙を拭ってくれた。
「ゆうちゃんのおかげで、受かったんだよ。」
「・・・せんぱい」
泣きながらあたしは笑顔になっていた。

