「フレディー、良い子でお留守番しててね。もうお兄さんなあなたなら出来るわね。」

「母さん。フレディーなら大丈夫だよ。私の息子だ。」

その楽しげな言葉を最後に、両親は僕の前から永遠に消えた。母のお腹の中の弟も一緒に。

僕の15歳の誕生日の前日の事だった。

親戚の人々は優しく声をかけてはくれたけれど、誰一人として僕を引き取ってくれなかった。

父の弟は下劣な醜男だった。

常に鼻が折れそうな程キツい酒の臭いを漂わせ僕に近づいた。目的は金。

欲にまみれた姿は見苦しく、相手にしたくなかったんだ。

だから―

「もう、この家に近寄らないで下さい。」
この一言で奴は腹を立てた。本能に負けた人間は醜すぎて反吐がでる。奴は僕をぶん殴った。

状況が読み込めない僕。
状況などお構いなしの男。

その形がしばらく続いたのち、急に男は気味の悪い笑顔をして笑った。

歯にヤニが溜まっていた事がはっきりと思い出される。