グラウンドの彼





あ、見とれてる場合じゃなくて……


とにかく、起こさなきゃっ



「か、か、川崎君っ!」


初めて本人に向かって、名前を呼んだ。


名前を呼ぶのもとっても緊張した。



でも……


「……」


川崎君は起きる気配が全くしない。


私の声は届いていないみたいだった。



頑張ったのになぁ……。



なんか、力が抜けた気がした。