「……天野さん」 一向にベンチから立ち上がろうとしない天野に痺れを切らし、悠里は天野の腕を強く引いた。 「列車が、来るって、ば!」 それでも天野は立ち上がらず、代わりに首を横に振る。 「なんで!」 悠里は声を上げた。天野の腕をぐいぐいと引き続ける。 「天野さんも切符持ってたじゃん!天国に行くんだろ!」 天野は哀しく微笑み、自分の腕を掴む悠里の手をそっと外した。 そしてその手を、優しく握り締める。 「…わたしは、悠里くんと一緒には行けないんだ」