「人は、どんなことでも乗り越えられる。悠里くんは、自分の力で乗り越えたんだよ。自分の死も、失恋も、親友との間の壁も」
天野は、再び空を見上げる。
「わたし、本当は心配だったの。このまま文弥くんと絢音ちゃんが結ばれても、悠里くんはつらいだけなんじゃないか、って。自分が居ない世界で幸せになる2人を、心のどこかで羨ましく思うんじゃないか、って」
悠里は首を振った。真っ直ぐに、天野を見つめる。
「そりゃ、ちょっとは悔しいけど。若死にしちゃったし、見事な失恋だったし。……でも、それでもいい。2人が幸せになってくれたら、それで十分」
そう言う悠里の瞳は、強くて揺るぎない。
……本当に、成長したね。
天野は笑顔で頷いた。


