「……これでいい?」

クリアマスカラを睫毛につけ、絢音は鏡を見つめた。
絢音は基本薄化粧らしい。

「うん、いいんじゃない?」

悠里は化粧のことはさっぱりわからないが、わからないなりに返事をした。
よし、と絢音に気合いが入る。

「悠里お願い、一緒に来て」

言われなくても天野とついて行くつもりだったが、改めてお願いされると少し照れてしまう。

「……いいけど」

「ありがと。悠里が居れば、頑張れる気がするから」

鏡に向かって微笑む絢音は、すごく綺麗だった。