「はい、まず文弥に電話!」

悠里が急かすと、絢音はおずおずと鞄から携帯を取り出し、文弥の番号を呼び出した。

文弥はすぐに出たらしい。
絢音は少し緊張した声で、今からまた少し会いたいんだけど、と文弥を誘った。
多少しどろもどろになりながらも、何とか約束を取り付ける。

「あと、化粧はし直した方がいいな。今の顔、かなりヤバい」

悠里がクスクスと笑うと、絢音は顔を青くして洗面所に向かった。
鏡を見て、悲鳴に近い声を上げる。

「うっわ、お化けじゃん!」

絢音は慌てて涙で流れてめちゃくちゃになった化粧を落とし、一から化粧をし直した。