「…そんなことされたって、こっちは全然嬉しくねーんだよ!なんで我慢するんだよ、なんで俺に気兼ねするんだよ!」

絢音の丸い目から、涙がこぼれ落ちた。
ポロポロ、ポロポロと涙は次々に絢音の握った手の上に落ちる。

「泣くほど文弥が好きなんだろーが!本当は絵梨子って奴に取られるのが嫌なくせに、なんで『心配するな』とか言って意地張るんだよ!!このまま文弥が結婚してもいいのかよ!!」

気づくと、悠里も泣いていた。

「まだ何も伝えてないだろ!諦めんなよ……!」


頼むから。


悠里が嗚咽を漏らしながら言い切ると、絢音は涙をこぼしながら、膝の上で握る手に力を入れた。