「悠里くんは大学はどこに行くかとか、決めてた?」

隣を歩く天野が、悠里の肩を軽く叩く。
悠里は決まり悪そうに頭を掻いた。

「なんとなくは…。俺あんまり成績良くなかったから、部活の推薦で行こうと思ってた」

「ほー!いかにも体育会系って感じだもんね、悠里くん」

「…あぁそーですかい」

悠里が不服そうに口を尖らせると、天野は笑った。

「彼女は?ひとりくらいはいた?」

「ひとりいた。すぐ別れたけど」

……文弥と絢音が少しでも楽になれば、と思って、告白してきた同級生と付き合ったことがあるが、長続きしなかった。

文弥と絢音がいる居心地の良さをどうにも拭えなかったのだ。