「…時間が、経ってる」

悠里は2人の後を歩きながら、校舎を見回した。

生徒たちは皆、半袖の夏服を着ている。
手にうちわを持ってパタパタと扇いでいる生徒もちらほら見受けられた。

悠里は自分の格好とのギャップに笑ってしまった。

悠里が着ているのは冬用のウインドブレーカー。
端から見ると、暑苦しいことこの上ない。


悠里が事故で命を落とした冬は過ぎ、季節は巡って夏になっていた。

「…ってことは、文弥たちは3年生になったってわけか」

文弥と絢音に導かれて、第3学年の教室のある階へと階段を上っていく。

悠里が生きて進級することができなかった、最高学年へ。