そうであってほしい、と思う。

悠里が居ても、居なくなっても、2人は変わらず一緒であってほしいと思う。

悠里が居た日々。

確かに、生きていた日々。

その確固たる証拠が、文弥と絢音だ。


「……天野さん」

悠里は初めて、天野の名を呼んだ。

「見てみたい、文弥と絢音がどうなったのか」


…これが、悠里の“未練”だ。


天野は悠里を見つめ、そして微笑んだ。


…もう、悠里の心に迷いはなかった。