「……見てみる?……文弥くんと絢音ちゃんの、その後」

天野は、悠里にリモコンを見せた。
悠里は黙って俯く。


しばらく待っても悠里が首を縦に振らないので、
リモコンを下ろした天野は、空を見上げて笑った。


「人ってさ、すごく強い生き物だと思うんだ」


サワサワと風が吹き、俯いた悠里の頬を撫でる。
急に、天野の言葉が胸の奥底に響いてきた。

「誰かのために、自分を犠牲にできる。守りたいものがあれば、自分の甘えに屈したりしない」

悠里は顔を上げる。
天野の屈託のない笑顔が目に入った。
蒼い瞳が、透き通ったように輝く。