「これは、悠里くんの記憶の中の一部分」

隣から声が聞こえ、顔を向けると、そこには天野がいた。

悠里と目が合い、にっこりと笑いかける。

悠里は辺りを見回し、自分たちは今学校のプールの中に浸かっているということを知った。

しかし、プールの水の中だというのに、水に浸かっている感覚がない。
服も濡れている様子はないし、嘘のように身動きがとりやすかった。

手で水をすくってみても、水はサラサラとこぼれ落ちるだけで、手に全く纏わり付かない。

……不思議な感じだ。


「わたしたちはあくまで映像を見ているだけ。だから水中でも濡れることはないし、あの人たちからわたしたちが見えることはない」

「……そっか、映像なんだ」