「ぼーっとしてんなよ、悠里!」

文弥はそう言って水鉄砲を構えると、悠里の顔目掛けて2、3発発射した。

呆然とする悠里に歯を見せながら、文弥は水中を泳いで逃げていく。

すると、悠里の体から抜け出すように、ひとりの男子が水に潜り、文弥の後を追って泳ぎ始めた。

悠里はその男子の姿を見つめ、目を丸くした。


紛れも無い、自分自身である。


目の前で自分が文弥を追いかけ、捕まえ、水をかけ合ってはしゃいでいる。

信じがたい光景に戸惑いながらも、悠里はふいに懐かしさを感じた。