悠里と天野を囲む草原と白い駅の風景が、ゆらゆらと揺れながら滲んで消えていく。

それと同時に、別の風景が現れ始めた。

青空。太陽。一面の水色。
制服を来た生徒。
はしゃぎ声。

そして、水しぶきの音。



「――おら、くらえ!」

そんな声が聞こえたと思うと突然、悠里の顔面に思いっきり水がかかってきた。

「ぅわっ」

悠里は反射的に顔を背けて目をつぶる。
顔を拭こうとしたが、なぜか肌には濡れた感覚がなかった。

「あっれ……」

今、確かに水がかかったはずなのに。

不思議に思って目を開くと、悠里の目の前で見知った顔が可笑しそうに笑っていた。

――文弥だ。