自分も、悠里と話したかった。

それが正直な気持ちである。

もし、話せたら。
絢音と同じように、自分のことも叱ってくれたら。

文弥は、どれだけ救われたかわからない。


でも、もう居ない。

悠里はこの世には居ない。


でも、確かに居る。

文弥の心の中に、絢音の心の中に、悠里は離れずずっと居てくれる。

今までそうだったように。

きっと、これからも。


――なぁ、悠里。


文弥が聞くと、悠里は笑って頷いた。