いつまでも悠里を言い訳にしたまま一向に進展しない文弥たちに、悠里はひどく腹を立てていたという。


何で我慢するんだ。

何で意地張るんだ。

何で俺に気兼ねするんだ。

諦めんなよ。

全然今さらなんかじゃない。


むしろ、今からだ。


絢音から聞いた悠里の言葉が、深く胸に響いた。

悠里の死から何年も経っていたのに、まだ2人が一歩も前に歩き出していなかったことを、悠里はわかっていた。

このぐずつく心を、悠里はふざけるなと蹴飛ばした。

容赦のないドロップキックだ。

でも、それが悠里の優しさで、頼もしさで。

3人で共に過ごした時間の長さの、現れだった。