そして列車の奥に進もうとした悠里は、何かを思い出したようにまた戻って来た。

「天野さん、ひとつお願い」

「なに?」

「ここに文弥と絢音の結婚式の招待状が届いたら、天国まで送ってくれる?」

そんなことか、と天野は笑った。

本当に、最後の最後まで友達想いなやつだ。

「了解。任せて」


天野が答えると、ついにここで列車のドアが閉まった。

ガタンガタン…と、列車が再び動き出す。


……天国へ。

悠里の、新しい世界へ。