涙が愛しさに変わるまで




結局、母親に追い出される。これも毎回のオチ。


「さっさと行くぞ。」



さっきから意地悪なこの男は浪江 修(ナミエ シュウ)。

同い年の幼なじみ。

名字が一緒だけど血の繋がりは一切ない。


遠い親戚でもない赤の他人。

赤の他人は違うな……。



“隣のいたずらガキんちょ”みたいな感じだ。





「何ぼーっとしてんだよ。遅刻すんぞ。」


はっと思い出すように腕時計を見た。

「…………ち、遅刻やーっ!!」


前を歩いていた修を追い抜いて走った。


「ちょっ、待てや!」

「待たへんわ!」