―――……
――…
ジリッジリッ…
男は相変わらず、少しずつ距離を詰めていく。
助けを呼びたくても、駅とは反対方向のため全く人が通らない。
どうしよう…。
どうしよう…。
あたし、
どうなっちゃうの――…?
言い様のない恐怖感の中で、ついに男があたしのカーディガンに触れようとした。
その時――…。
――ドカッ!!
「うっ…!」
何かがぶつかるような鈍い音とともに、突然聞こえた男の呻き声。
しかも、そのすぐ横にはサッカーボールがひとつ転がっている。
何が…
起きたの―――…?
でも、その疑問はすぐに解決した。
だって…
「円香!!」
痛みに耐えきれずに、そのまま倒れた男の背後に見えたのは…
一生懸命こっちへ駆けてくる、大好きな人の姿――…。
「神崎君!!」
まるで正義のヒーローのようなタイミングで現れる彼。
あたしはすっかり伸びている男を踏みつけ、
迷うことなく、
彼の胸へと飛び込んでいった。

