「風太!オレの鞄取って…って、あれ?」
ベンチに戻り、声を掛けると、なぜか風太の姿も消えている。
…ったく。
どうしてオレの周りには、こう不思議な人間が多いんだろう…?
「なぁ、風太知らねぇ?」
近くにいた後輩に訊ねると、ソイツは呆れたような笑みを浮かべた。
「あぁ…なんかロスタイムの時あたりに、腹痛でトイレに行きましたよ。
今朝、消費期限過ぎた牛乳飲んだらしいです」
「……」
あのアホ…いくら補欠とはいえ、ふつう試合の日に期限切れの牛乳飲むか?
苦笑いを浮かべながらも、オレは鞄からケータイを取り出す。
すると、今度は後輩がオレに話を振ってきた。
「あ、神崎先輩…
そう言えばさっき、風太先輩から聞いたんですけど―――…」
「―――え?」
次の瞬間…
オレはもう…サッカーボールを抱えて、走り出していた。

