―――……
――…
「「神崎くぅん!!」」
耳が壊れるほどの黄色い声援が会場中に響き渡る。
今は試合開始直前。
各チーム、ミーティングを終え、選手たちが中央に並んでいた。
そんな中、観客席の真ん中で、あたしは一人呆然と突っ立っている。
だって…
…分からない。
いくら考えても分からない。
ちょっと前にフィールドに姿を現した神崎君が…
手を振るあたしから顔を背けた理由。
その後すぐに、ベンチに戻ってしまった理由――…。
この何分かで必死に考えた。
マスカラが落ちてパンダになってたのかな…とか、
この服が似合ってないのかな…とか、
実はさっき電車のドアにワンピが挟まれたのを目撃されてたのかな…とか。
あんなよそよそしい神崎君を見たのは初めてで。
せっかく1週間、凪ちゃんの猛特訓に耐えたのに…
こんなんじゃ、試合開始1分でレッドカード出されたようなもんだよ…。
ピーッ!
試合開始を知らせる笛が鳴り響くまで、あたしの頭の中はそのことでいっぱいだった。
それなのに…。

