「オレ、観客席見に行ってくる」
再び言うと、風太が意味深な笑顔を浮かべた。
「あー円香ちゃん?
そっか、お前今日頑張んなきゃだもんな、色々」
……色々??
「風太…何が言いたいんだよ?」
「べっつに〜♪」
「……」
…変なヤツ。
話すだけ無駄だな。
「オレ行くわ」
そう言い残して、オレは足早に観客席が見える場所へと向かった。
「きゃー神崎くぅん!!」
フィールドに姿を現すと、甘ったるい声が大量に響いてくる。
正直言って…かなりうるさい。
どいつもこいつも、化粧厚塗りして同じ顔に見えるし…。
適当な作り笑顔を浮かべながら、オレの目は円香を探していた。
きっと今日も、パーカーにジーンズ姿なんだろうな。
初デート以外は、だいたいいつも似たような格好。
オレは、そんな自然で気取らない円香が凄く好き。
でも…
沢山の観客の中から、円香の姿を見つけた時、
オレは思わず、息を呑んだ。

