そんなさりげない神崎君の優しさに、涙が出そうになる。
「あ…まだ少し時間あるし、どうせなら、もう一つ買って来ちゃおっか?
映画観てる時も、オレ絶対食べるし(笑)」
ほら、また。
…食べたのはあたしなのに、
まるで自分が沢山食べるみたいな言い方をしてくれる。
「じゃあ、あたしが買ってくるよ。
さっき払って貰っちゃったから」
そう言って立ち上がろうとしたあたしを、
神崎君が止めた。
「いいって。
今日誘ったのはオレなんだから、おごらせて?」
「でも…」
あたしのせいで、予定外の支出をさせてしまうのは、なんだか申し訳がなかった。
だけど神崎君は、開いた手のひらを、あたしの方に向けたまま動かそうとしない。
「本当にいいから。
ここで座って待ってて」
それだけ言うと、鞄から財布を取り出し、
入り口の方へと走っていく。
極めつけは、行く前にサラッと言った一言。
「オレ…よく食べる女の子、
好きだよ」
これには、あたしだけでなく、
周りにいたカップルも、親子連れもみんな、
赤面状態だった。

