チケットを買い、指定された場所へ入ってみれば、
大人気の映画だけあって、すでに多くの人が集まっている。
あたしたちの席は、後ろから三列目の左側だった。
「ちょっと…見づらい位置になっちゃったね…」
そう言いながら、席に座る神崎君とあたし。
だけど、座った途端、あたしの緊張が、ピークに達した。
だって…
隣との距離が…近い。
神崎君の息遣いが、はっきりと聞こえるんだもん…。
さっき手を繋ぐだけでも精一杯だったのに、
あと2時間も、この状況に耐えられるの…?
映画デートは、喋らないでいいから楽って何処かで聞いたことがある。
でも、あたしにとっては、全然楽じゃなさそう…。
「櫻井さん…?」
「ほぇっ!?」
気が付けば、神崎君の綺麗な顔があたしを覗き込んでいた。
「ななななな何っ!?」
あたし、何回「な」を言えば気が済むんだろう…?
驚き過ぎて、思わず後ろに仰け反ってしまった。
そんなあたしに、神崎君が遠慮がちに言う。
「あの…それ…」
「えっ!?」
それ―――…?

