‘妹’―――…。
その言葉が、心にズキンと突き刺さる。
「…ごめんなさい。
あたし、デートとか初めてで、何着ていいか分からなくて。
友だちに聞いたら、普通でいいって言われて、それで…」
呆れられる覚悟で、俯きながら言ったあたし。
そんなあたしの手を、神崎君がそっと握って、歩き出した。
「行こ?
早くしないと、映画始まっちゃう」
パッと顔を上げたあたしに
神崎君が優しく微笑んだ。
駅前の広い道を
手を繋ぎながら歩く神崎君とあたし。
相変わらずジロジロ見られるのは、神崎君の容姿なのか、あたしの制服なのか…、
それは分からない。
でも、ひとつだけ確実に言えること。
それは…あたしの心臓の音が、異常なほど速いことだった。
「神崎君…
怒ってないの…?」
手はつないだまま、少し前を歩く神崎君の背中に話しかけてみる。
すると突然、神崎君の足がピタリと止まり、
ゆっくりと振り返った。
さっきの…優しい笑顔のままで…。

