「あの神崎君と…

付き合うことになったぁ!?」


「ちょっ…

声大きいよ、凪ちゃん!

しーっ!」



―――場所が変わって、ここは教室。


今、ものすごい大声をあげたのは、

小学校からの大親友の浅岡凪ちゃん。


見た目は大人しそうなのに、実はかなりの暴走少女で、一度興奮するとなかなか治まらない。


でも、いつもあたしの味方をしてくれる、心強い存在なんだ。



そんな凪ちゃんの声に、クラス中がざわついたのを見て、あたしは慌てて凪ちゃんの口を押さえた。


神崎君の名前に振り返った大勢の女の子たちに、愛想笑いを浮かべて誤魔化しながら。



「もう!凪ちゃん興奮しすぎだよ!」


声を潜めながら、あたしが言うと、凪ちゃんはバツの悪そうな表情を浮かべた。


「…ごめん。

でも、今のはあたしじゃなくても叫ぶって!

だって、もう一度聞くけど、あの神崎君でしょ?」


あたしは、背中を丸めながらコクリと頷いた。