「……いったぁ……」
久しぶりに豪快にコケた。
そのことで、今まで神崎君が支えてくれていたことを実感する。
思い切り打ち付けた膝がジンジン痛む。
散らばった荷物を拾う気にもなれず、あたしは人々の冷たい視線を感じながらしばらくその場に座り込んでいた。
‘まもなく1番線に電車が参ります……’
ホームから、駅員のアナウンスが聞こえる。
それと同時に、あたしたちがいつも一緒に乗る電車がホームに滑り込んでくる音がした。
神崎君……乗ったかな?
ジワリ……
また涙が浮かび上がってくる。
「あたしも行かなきゃ……」
独り言を呟いてあたしはゆっくりと立ち上がる。
そしてこの日から……
あたしは朝の待ち合わせに行かなくなった。
神崎君に会わないように、わざと時間をずらして……。
神崎君と出会う前の遅刻寸前のあたしに戻っていったんだ。

