モテ彼×ブキヨウ彼女



ダメだ――。


一度悪い方向に考え出すと止まらなくなってしまう。


だけど今、こんな気持ちで神崎君の隣に立っているのが辛いんだ……。


あたしは、無理矢理笑顔を作って大袈裟に言った。



「あー!!

あたし、忘れ物して来ちゃった!」


「え……?」


「ごめん!神崎君、先に行ってて」


「ちょっ……

円香!?」


慌てて止めようとした神崎君を振り切り、あたしは改札に向かって走り出した。



―ドンッ

―バンッ

―ゴンッ


途中、すれ違う人たちやモノにたくさんぶつかった。


でも、あたしが迷い込んだ迷路に立ちはだかる障害物は、もっともっと高い。


そんな気がするんだ。



――まだ何も分かったわけじゃないのに、涙で視界が歪む。


そのせいで、足元の段差に躓いてしまった。


「きゃあっ!!」


声を上げた時にはもう手遅れ。


あたしは、コンクリートの地面へと倒れ込んだ。