壁は白で塗られていて、手すりが据え付けられている他には何の掲示物もなく、観葉植物のひとつすら置かれてはいない。その無機質な眺めは、先ほどの「白い壁の部屋」の夢によく似ている。
……いや、逆ではないか。先ほどの夢がこの場所を連想させたと考える方が、合点がいく。
廊下を挟むようにしていくつかの部屋があり、入り口の大きな引き戸はみな開放されていた。引き戸のすぐ近くには各々消毒用のスプレーが置かれているのだが、パッケージの印刷は日に焼けて、うっすらと埃がかぶっている。来訪者用という事なのだろうが、おそらく来訪する者などほとんど無いのではなかろうか。

