「朝ご飯、もう食べたの?」

「うん」

「クッキー焼いてきたんだけど、
じゃあ、これ、おやつの時間にでも食べてよ」

プリントが入っていた
手提げ袋の中からは、
オシャレに包まれた
手作りのクッキーが出てきた。

味気ない朝食のデザートに、
委員長が焼いてくれた
クッキーを食べられるとは
思ってもみなかった。

「今食べていい?」

「どうぞ。あ、私も一つちょうだい」

私服姿の委員長は
随分と違った印象に感じられた。

そこにいるのは、
クラスの委員長として
秩序を守る真面目な生徒ではなく、
お喋り好きで明るい
普通の女の子だった。

委員長はクッキーを頬張りながら、
手提げ袋からマンガを取り出して、
すっかりと自分の
くつろぎモードに入ってしまっている。

今日は他に予定とかはないのだろうか。

「委員長、今日って何時までいるの?」

「え~、今来たとこなのに~」

違う。
何時まで
一緒にいてくれるのかと
言いたかったのだ。

出来ることなら、
委員長ともっと仲良くなりたい、
この人のことをもっと深く知りたい、
そう思った。