卒業式後。
前からボタンがほしいって言ってた子たちにはブレザーの前のボタンをあげた。
おかげで今は、ブレザーをとめられないんだけど。
そして俺は屋上に向かってる。
少し暖かくなった風が吹いてる。
女の子が一人、いつもの手紙の場所にいて。
「ねぇ、俺はここでなにを見てた?」
と声をかけた。
後ろを向いていた女の子は振り返って
「先輩は、自分でもなにを見てたかなんてわかんないんですよね」
と文字にあったかわいらしい笑顔を浮かべた。
「君が、俺の手紙の相手なんだね」
「はい。近くで見る先輩、やっぱりかっこいいです」
そうはにかむように話すこの子はどうして俺がいいんだろう。
「…あ、ボタン、無いんですね」
と俺のブレザーを見て悲しそうな表情を浮かべた。
「前からほしいって言ってた子たちにあげた」
少し動揺しているのが声に表れた気がした。

