「お前さぁ、この前の化学の点数ひどかっただろ」


ごちゃごちゃになっていた部屋を少しずつ片付け始めた時、

突然先生が口を開いた。


「だ、だって、化学苦手……だし」

もごもごと言い訳するけれど、先生には通じない。


「だって、じゃねぇよ、なんでわかんねーんだ、馬鹿」

資料とか実験器具のおかげで顔は見えない。


今、先生の怒った顔を見たら、きっと泣いちゃう。

「ご、ごめんなさい………」

忙しく動かしていた手を止めてぽつ、とつぶやく。


「謝るぐらいだったら、毎日俺んとこきてんだからわかんねーとこちゃんと聞け、な?」

あぁ。やっぱりこの人が好きだ。

「…………うん!」

こうやって、意地悪な言い方するけれど、ほんとはとっても優しい先生。


「……あ、そのかわり、」