「結菜ちゃんミルクティー好きだよね、クッキーも持ってきたよ!食べて食べて」
悠紀くんはもともとそんなにペラペラ話す方ではなくて、いつもニコニコ話をきいてくれるタイプだった。
だけど、なんだか今日は違った。
学校がどうのこうの、塾はこれくらいのペースで進んでる、昨日見たテレビの話。
どれも私の聞きたい内容ではなかった。だけど笑って相槌を打てば彼は優しく微笑んでくれるから、それでもいいかと思えてしまった。
「クッキー美味しいね」
また悠紀くんが笑ってくれる。まるで私たち付き合ってるみたいだ。付き合ってたときみたいだ。そんな錯覚さえ覚えてあの女の子のことも聞くのが億劫になる。
ちょっとトイレ行ってくるね、悠紀くんはそう言って部屋を出た。
一人残された私は部屋をもう一度ゆっくり見渡した。

