あの日から数日が経ってしまった。
だからといって何か変わったことがあったわけでもなく、ただ毎日を同じように繰り返していた。

悠紀くんもあの日の夜に連絡をくれたけれど、わたしはそれに返信さえできていない。

一方の羽柴はというと…

「おはー北沖!」

…なにも変わりはない。

ちょっとは心配してくれるのかな?怒ってもう嫌だお前なんか!て言われるのかな?なんて身勝手にも程があるけど、そんな風に考えていた私は羽柴のこの態度には少し期待はずれだった。

「北沖はさー今日放課後残る?」

いつも通り私の机の目の前にしゃがんで羽柴は聞いてきた。

「放課後て何かあったけ?」

別に特に今日は用事はないはずだし、その放課後の内容次第では残ることも考える。

「いやー特にないんだけども!もしあれなら一緒に帰ろうよ。先週から全然一緒に帰ってくれないしさ」

羽柴はわざとらしく泣き真似をしてちらりとこちらの様子を窺った。


先週のあのことがあって以来、なんだか私の方が気まずくて羽柴を避けて一緒に帰ることもしていなかった。
だけど、今日なぜか一緒に帰りたいという羽柴。私、あなたの目の前で違う人とキスまでしてしまったのにいいの?
あなたのこと傷つけてしまったのにいいの?…本当は羽柴は私の事なんとも思っていないのかもしれない。

そんな風に考えると胸が少しだけ痛くなった。そんな自分につくづく嫌気がさす。あぁなんて身勝手なんだって。