羽柴!て声をかけることをすればよかったのかな?

大声で泣いて、ごめんなさいって謝ればいいのかな?

その場から立ち去ろうとする羽柴を私はただ呆然と見ていた。

お前なんか大嫌いだ。
お前なんか、お前なんか。
そう罵ってくれたほうが幾分もマシなのに。羽柴は目の前からただ立ち去ってしまっただけだったのだ。


悠紀くんに会えて、キスまでされて嬉しいって素直に喜べる単純な私だったらどんなに楽なのだろうか。

なんで私は羽柴と付き合ったのかな。なんで悠紀くんを諦めてしまったのかな。


本当は頑張れば悠紀くんのこと手が届いたのかもしれない。そう思ったらもう私の中に羽柴はいない。


ごめんね、羽柴。
どんなにあなたが私をおもっていてくれても私はあなたを傷つけてしまうだけ。私は身勝手だ。

正当化できる理由なんてないよ。自分が最低なことは分かっている。それでもただわたしは純粋に悠紀くんを欲してしまっているのだ。
悠紀くんでなきゃダメだと思っている。