溺愛彼氏6:4


さっきよりも、ゆっくりと歩いた。
大きい羽柴の手。
悠紀くんの手よりも大きい。

なんだか恥ずかしくて、むずがゆくて、羽柴の顔を見ることはできなかったけど、羽柴も同じみたいだ。
さっきまでとは違って会話はなくなっていたけど、こんな時間も素敵に思えた。


次の角を曲がると進学校向けの塾がある。そこを通っていつも帰るから、今日もいつもと変わらずに通る。
いつもと違うことといえば、羽柴の手を握っていることくらい。


塾に向かって歩く私たちと、反対から塾に向かって歩く人影が見えた。

ミルクティーみたいな優しい髪色。


ねぇ、あれだけ会いたかったのにどうして今会ってしまったのだろう。
どうして羽柴と…手を繋いでいるときに会ってしまったのだろう。

これじゃあまるで羽柴と付き合っているみたいだ。…付き合っているのだけれど、悠紀くんには知られたくなかった。


悠紀くんも私に、私たちに気づいたのかな、こっちを見て笑ったような気がしたけど、すぐに目はそらされてそのまま塾の中へと消えようとしていた。


「待って!」


気がつけば私は羽柴の手を振りほどいて、悠紀くんを追いかけていた。

一度も振り返ることはなかったから、羽柴の表情や気持ちなんか考えることなく。