さっきよりも、ゆっくりと歩いた。
大きい羽柴の手。
悠紀くんの手よりも大きい。
なんだか恥ずかしくて、むずがゆくて、羽柴の顔を見ることはできなかったけど、羽柴も同じみたいだ。
さっきまでとは違って会話はなくなっていたけど、こんな時間も素敵に思えた。
次の角を曲がると進学校向けの塾がある。そこを通っていつも帰るから、今日もいつもと変わらずに通る。
いつもと違うことといえば、羽柴の手を握っていることくらい。
塾に向かって歩く私たちと、反対から塾に向かって歩く人影が見えた。
ミルクティーみたいな優しい髪色。
ねぇ、あれだけ会いたかったのにどうして今会ってしまったのだろう。
どうして羽柴と…手を繋いでいるときに会ってしまったのだろう。
これじゃあまるで羽柴と付き合っているみたいだ。…付き合っているのだけれど、悠紀くんには知られたくなかった。
悠紀くんも私に、私たちに気づいたのかな、こっちを見て笑ったような気がしたけど、すぐに目はそらされてそのまま塾の中へと消えようとしていた。
「待って!」
気がつけば私は羽柴の手を振りほどいて、悠紀くんを追いかけていた。
一度も振り返ることはなかったから、羽柴の表情や気持ちなんか考えることなく。

