「あ、でも公に手出したら容赦しねぇからな。」

保健医を睨む。
多分こいつは公を利用しようとしている。

何故か桐に執着しているようだが、こいつにとって公はどうでもいい存在。桐の餌くらいにしか思っていないだろう。

そんなこと、絶対にさせない。


「公は俺にとっても、桐にとっても大事な奴なんだよ。それに…あいつ壊れる寸前なんだ。」

言い終わると再び保健医に背を向け、ドアを開ける。

「…君は公ちゃんが好きなんだ。」

冷たくて低い声。
その言葉に俺は動きを停めた。

「…あぁ、好きだよ。ずっと。」

保健医の方はみない。
ただ、ドアノブに力をこめる。

「…いいの?桐は…」

「…公が笑うなら」

保健医の言葉を遮る。

…言われなくても分かっているよ。
それでも…。

瞳だけ、保健医を見つめる。

「公が笑うなら、いいんだよ。」

目を細めて微笑み、そっと保健室のドアを閉めた。


ドアに身を預け、溜め息を一つ溢す。

「何かすげぇ…モヤモヤする。」

何故か最後に見た
保健医の切なそうな顔が

頭から離れそうにない―…